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【翻訳】Schweizerpsalm(スイス人の讃美歌)(※ドイツ語版)

記事作成日:2021/07/10
最終更新日:2021/07/14

▼ 更新記録(ここをクリックで展開)
  • 2021/07/14
    • 「概要」部分に参考サイト追加
    • 前置き部分加筆
    • 『Rufst du, mein Vaterland(※ドイツ語版)』の翻訳記事についての案内文の追加
    • 記事タイトル変更:「【翻訳】スイス国歌(※ドイツ語版)」→「【翻訳】 Schweizerpsalm(スイス人の讃美歌)(※ドイツ語版)」
  • 2021/07/12
    • HTMLタグ打ちミス箇所の修正
    • 「概要」部分に参考サイト追加
    • 「歌詞(原文・翻訳)」部分に補注追加(第一歌節の※1)
 

 

 本記事では、現在のスイス国歌である『Schweizerpsalm(スイス人の讃美歌)』のドイツ語版を自炊翻訳したものを掲載しています。翻訳に至った動機は、ざっくりWEB上を検索してみるに、どうやらあんまりドイツ語の原文に則って読んでいるものが見受けられなかったためですというか、少なくとも私は納得しなかったためです。あと、とある記事を作成する過程でスイス国歌に注目することになったので、ついでに翻訳してみたという流れもあります。とはいえ、ドイツ語が堪能なわけでは全くないため、誤訳等ありましたら、教えていただけると幸いです。
また、現時点では他言語版に取り組んでみるつもりはないですが(そもそもイタリア語もフランス語もドイツ語以上に全くできないので)、ざっくり読んでみる限り、結構ニュアンスが違ってきているように思います。読み比べてみると面白いのかもしれません。

 

あと、前にスイス国歌として扱われていたこともある『Rufst du, mein Vaterland(呼べ、我が父なる土地を)』のほうも自炊訳を公開しております。

 

 

概要

スイス国歌についての基本情報は以下のWEBサイトを参照していただきたい。

  • スイス連邦官庁(※日本語版)』-「スイスを発見する」-「国歌」(最終アクセス日:2021/07/10)
  • スイス連邦官庁(※英語版)』-「Swiss National Library NL」-「The Swiss National Anthem」(※本文英語)(最終アクセス日:2021/07/14)
  • 『SWI』-「国歌が奏でる不協和音」(最終アクセス日:2021/07/12)
  • 『Historische Lexikon der Schweiz(HLS)』-「Landeshymne」(※本文ドイツ語)(最終アクセス日:2021/07/14)

歌詞(原文・翻訳)

※原文の引用源:WEBサイト『スイス連邦官庁(※ドイツ語版)』内「Der Bundesrat / Das Portal der Schweizer Regierung」内「Schweizer Landeshymne (Schweizerpsalm)」(最終アクセス日:2021/07/10)

1番

原文

Erste Strophe
Trittst im Morgenrot daher,
Seh'ich dich im Strahlenmeer,
Dich, du Hocherhabener, Herrlicher!
Wenn der Alpenfirn sich rötet,
Betet, freie Schweizer, betet!
Eure fromme Seele ahnt
Eure fromme Seele ahnt
Gott im hehren Vaterland,
Gott, den Herrn, im hehren Vaterland.

翻訳文

第一歌節
朝焼けの太陽がこちらへと向かってくる中を歩み出し、(※1)
私は光線を放つ湖のうちにあなたを見出す、
あなたを、汝、偉大さを持つ者、輝ける者を!
アルプスの雪が赤く染まったその時には、
祈れ、自由なるスイス人よ、祈るのだ!
諸君らの信心深い魂で感じ取れ
諸君らの信心深い魂で感じ取るのだ
この崇高なる祖国の中におられる神を。
神、我らが主が、この崇高なる祖国におられることを。

 

※1 どうやらこの箇所は「空が朝焼けに染まり」または「朝の空が赤くなり」と訳すものが目立つが、第一歌節~第四歌節のドイツ語部分を参照しても分かるように、太陽、赤く燃える夕焼け、霞、嵐が「こちらへくるdaher」というように表現されているのである。特にこの第一歌節の太陽は歌詞全体で謳われている神の来臨を予感させる意味合いとして象徴的に語られているものだというように解釈できると思うので、私訳ではこのように翻訳している。というか、「空が朝焼けに染まり」だと意訳的というか、原文が表現しているものを損なっていると思うのでいささか不思議に感ずるのだが、こう捉える傾向にある理由が何かあるのだろうか? どうも英語版の翻訳もそうした訳になっているようである(『世界の国歌 - National Anthem』-「スイス連邦の国歌「スイス賛歌」」(最終アクセス日:2021/07/12))。他の箇所も随所、他の翻訳を見ていると、えっ?と思う箇所はあるのだが。例えば、次の行の「Strahlenmeer」とか。これはスイス国内の情景を盛り込んだ歌詞でもあるので、自然風景としての「湖meer」が太陽の輝きを受けて「光線を放つ湖Strahlenmeer」となり、そこに神から発せられるものを感じるという内容になっていると思うのだが……。スイス人にとってはヴァルトシュテッテン湖なりツーク湖なり、他の最寄りの湖なりを連想できるようなものになっているはずである。とにかく、これはもともとドイツ語で聖歌の歌詞とすべく書き下ろされたもので、多分にキリスト教的な宗教観とスイスという土地が混ざり合った曲であるという大前提で本記事の翻訳は行っている。

参考:『世界の民謡・童謡』-「スイス国歌『スイスの讃美歌』」(最終アクセス日:2021/07/12)、『Wikipedia』-「スイスの賛歌」、『君はヒトで私はキツネで。』-「「スイス国歌」 スイス連邦 (日本語訳)」(最終アクセス日:2021/07/12)

2番

原文

Zweite Strophe
Kommst im Abendglühn daher,
Find'ich dich im Sternenheer,
Dich, du Menschenfreundlicher, Liebender!
In des Himmels lichten Räumen
Kann ich froh und selig träumen!
Denn die fromme Seele ahnt
Denn die fromme Seele ahnt
Gott im hehren Vaterland,
Gott, den Herrn, im hehren Vaterland.

翻訳文

第二歌節
赤く燃える夕焼けがこちらへと向かってくる中で思い至る、
数多の星々の中にあなたが見出せるのだということを。
あなたを、汝、人々に親しき者、愛ある者を!
天の国が空を輝かせる中で
私は喜びの中で至福なる夢を見ることができるのだ!
すなわち、その信心深い魂で感じ取れ
その信心深い魂で感じ取るのだ
この崇高なる祖国の中におられる神を。
神、我らが主が、この崇高なる祖国におられることを。

3番

原文

Dritte Strophe
Ziehst im Nebelflor daher,
Such'ich dich im Wolkenmeer,
Dich, du Unergründlicher, Ewiger!
Aus dem grauen Luftgebilde
Tritt die Sonne klar und milde,
Und die fromme Seele ahnt
Und die fromme Seele ahnt
Gott im hehren Vaterland,
Gott, den Herrn, im hehren Vaterland.

翻訳文

第三歌節
霞のベールがこちらへと向かってくる中をゆっくりと歩み行く、
この雲海の中にあなたを探し求め。
あなたを、汝、未知なる者、永遠なる者を!
この恐ろしい白くぼやけた幻影から逃れ
澄み、穏やかに、あの太陽へと歩むのだ。
そしてその信心深い魂で感じ取れ
その信心深い魂で感じ取るのだ
この崇高なる祖国の中におられる神を。
神、我らが主が、この崇高なる祖国におられることを。

4番

原文

Vierte Strophe
Fährst im wilden Sturm daher,
Bist du selbst uns Hort und Wehr,
Du, allmächtig Waltender, Rettender!
In Gewitternacht und Grauen
Lasst uns kindlich ihm vertrauen!
Ja, die fromme Seele ahnt,
Ja, die fromme Seele ahnt,
Gott im hehren Vaterland,
Gott, den Herrn, im hehren Vaterland.

翻訳文

第四歌節
荒れ狂う嵐がこちらへと向かってくる中を突き進み、
あなたの宿るわれらの安全な場所と防壁へと向かう。
汝、全能の支配者、救う者よ!
暗天の夜闇と灰色の中で(※1)
あなたの御許で子供のように我々の身を委ねさせ給え!
そう、その信心深い魂で感じ取るのだ、
その信心深い魂で感じ取るのだ。
この崇高なる祖国の中におられる神を。
神、我らが主が、この崇高なる祖国におられることを。

 

※1 もしくは「雷雨の降りしきる夜闇の中で」。