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【翻訳】詩「Das Veilchen(ちいさなスミレ)」(ゲーテ)

記事作成日:2021/08/02
最終更新日:なし

 

 本記事では、ゲーテの詩「Das Veilchen(ちいさなスミレ)」を自炊翻訳したものを掲載しています。読みたくなったので読みました。
あくまでド素人がなんとか読んでいるようなものであるため、誤訳箇所などあればお教え頂ければ幸いです。

 

概要

この詩は1785年にモーツァルトが歌曲に使用したことでも有名である(K476)。日本国内においては一般に「すみれ」の名で知られる。

歌詞(原文・翻訳)

※原文の引用源:WEBサイト『Zeno.org』内「Das Veilchen」(最終アクセス日:2021/08/02)
出典は以下とのこと:Johann Wolfgang von Goethe: Berliner Ausgabe. Poetische Werke [Band 1–16], Band 1, Berlin 1960 ff, S. 113-114.

原文

Ein Veilchen auf der Wiese stand
Gebückt in sich und unbekannt;
Es war ein herzigs Veilchen.
Da kam eine junge Schäferin,
Mit leichtem Schritt und munterm Sinn,
Daher, daher,
Die Wiese her, und sang.

Ach! denkt das Veilchen, wär ich nur
Die schönste Blume der Natur,
Ach, nur ein kleines Weilchen,
Bis mich das Liebchen abgepflückt
Und an dem Busen matt gedrückt!
Ach nur, ach nur
Ein Viertelstündchen lang!

Ach! aber ach! das Mädchen kam
Und nicht in acht das Veilchen nahm,
Ertrat das arme Veilchen.
Es sank und starb und freut' sich noch:
Und sterb ich denn, so sterb ich doch
Durch sie, durch sie,
Zu ihren Füßen doch.

翻訳

この草原にたたずむ一輪のちいさなスミレが
おじぎをしている 人知れず。
それは愛らしいちいさなスミレ。
そこに来たのはひとりの女の羊飼い。
軽やかな足取りで溌剌と。
あちらのほうからこちらへ、こちらへと、
この草原を進む、歌いながら。

ああっ! このちいさなスミレは考えました。私が
この自然界に在って唯一の いちばんの美しい花であったなら。
ああ、ほんの少し ちょっとの間だけでいいから、
あの愛しいひとが私を摘み取ってくれるまでは綺麗なお花になれたなら。
そうしてあのひとの胸に微かに押し付けてもらえたなら!
ああ、ただ、ただ、
ほんの一瞬だけでいいから!

ああっ! それなのに、ああ! やって来たこの愛しい乙女は
あのちいさなスミレに気を払うこともなく
踏み躙られた気の毒なちいさなスミレ。
醜く押し潰され息も絶え絶え それでもなお スミレは喜ぶのでした。
私は潰れて死んじゃうけれど、こうして潰されちゃったけれど
あなたのせいで、あなたのおかげで、
あなたの足で散ることができるなら それでいい。